高圧受電設備の年次点検に合わせて更新工事を計画するには?スケジュールの組み方を解説

「毎年の年次点検で指摘事項が出るが、いつ更新工事を計画すればよいかわからない」
「点検と更新工事を同じタイミングにまとめると、停電の回数が減ると聞いた」

年次点検と設備更新のタイミングをうまく組み合わせることで、
停電回数を最小化しながら計画的に設備を整えることができます

この記事では、年次点検の仕組み・点検後のタイムライン・
更新工事を計画する上でのベストシーズン・スケジュールの組み方
を整理します。

年次点検とは何か

高圧受電設備(自家用電気工作物)を保有する事業者は、
電気事業法に基づき、年に1回以上の「年次点検」の実施が義務付けられています
年次点検では施設全体を一時停電させ、
絶縁抵抗測定・機器の動作確認・外観点検・保護リレーの試験などを行います。

年次点検の主な内容
絶縁抵抗測定 / 接地抵抗測定 / 保護リレー動作試験 / VCB・LBSの動作確認 /
外観点検(変色・腐食・損傷の確認) / PASのSOG動作確認 / 電流・電圧の計測確認

点検結果は「点検報告書」にまとめられ、異常・要注意事項が記載されます。
この報告書が、設備更新を計画する上での重要な判断材料になります。

点検結果を受けてからの理想的なタイムライン

年次点検で指摘を受けてから、更新工事を完了させるまでには
一定の準備期間が必要です。
以下は点検を春に実施した場合の理想的な流れです。

点検実施(例:5月)
年次点検を実施。絶縁抵抗・機器の動作確認・外観点検を行う。
点検報告書に指摘事項・要注意事項が記載される。

停電①(年次点検用)

点検報告書の確認・業者への相談(6月)
報告書を受け取ったらすぐに内容を確認。
更新が必要な機器・優先順位を把握する。
電気工事業者に現地調査を依頼し、工事範囲・費用・工期を確認する。

相談開始のベストタイミング

見積もり・発注・申請開始(7月)
見積もりを確認し、工事を発注。
電力会社への申請・機器の手配を並行して開始する。
申請には1〜3ヶ月程度のリードタイムが必要。

申請完了・機器手配完了(8〜9月)
電力会社からの承認を受け、工程を確定する。
機器の納品・現場への搬入準備を進める。

施工・完工(9〜10月)
現場工事・設備更新を実施。
完工後に絶縁抵抗測定・試運転・電力会社の竣工検査を経て完工。
年次点検と更新工事の停電を別々にしないことで、停電回数を最小化できる。

停電②(更新工事用)

翌年の年次点検(翌5月)
更新した設備の初回点検。
新設備の状態を確認し、保安規程・点検記録を更新する。

理想的には、年次点検の停電と更新工事の停電を同じ機会にまとめることで、
施設への停電回数をできるだけ減らすことができます。
そのためには、点検実施の1〜2ヶ月前から工事業者と相談を開始しておくと、
点検直後にスムーズに発注・申請に移ることができます。

更新工事のベストシーズン(北海道・十勝)

◎ 春(5〜6月)
年次点検直後で指摘事項が新鮮なまま動ける。
積雪がなく屋外工事も良好。
業者・電力会社ともに比較的余裕あり。
秋の完工を目指した計画が立てやすい。

◎ 夏(7〜9月)
屋外工事の環境が最も良好。
繁忙期を避けて業者・電力会社の調整がしやすい。
年内完工を目指す場合の施工に最適。

△ 秋(10〜11月)
年度末需要が始まりスケジュールが埋まり始める。
積雪前の最後の屋外工事機会。
年度内完工を希望する場合は夏までに動き始めておくことが必要。

▲ 冬〜年度末(12〜3月)
業者・電力会社ともに最繁忙期。
屋外工事は積雪・寒冷で制約大。
この時期に依頼しても希望通りの工期にならないことが多い。

点検と更新をうまく組み合わせるコツ

  • 点検の1〜2ヶ月前に工事業者へ相談を開始する:点検結果が出た直後に動けるよう、事前に現地調査・見積もり準備を進めておく
  • 点検で指摘が出た機器と、更新目安を超えている機器をまとめて更新計画に組み込む
  • 年次点検の停電と更新工事の停電を合算できないか、電気主任技術者・工事業者と相談する
  • 「今年は点検のみ・来年更新」の場合も、来年の工事に向けた申請・手配を今年中に始める
  • 北海道・十勝では冬季の屋外工事を避けるため、春〜夏に施工を集中させる計画を立てる
「点検で指摘が出てから動き始めると遅い」
点検報告書を受け取ってから業者を探し、見積もりを取り、
申請を行い、機器を手配して施工するまでには3〜6ヶ月かかります。
緊急性の高い指摘がある場合、その間も設備はリスクを抱えたまま稼働し続けることになります。
「そろそろ更新が必要かも」と感じたら、点検前から業者に相談しておくことが最善の対策です
この記事のまとめ

  • 年次点検は法令で年1回以上の実施が義務。点検報告書が設備更新計画の出発点になる。
  • 点検の停電と更新工事の停電をまとめることで、施設への影響を最小化できる。
  • 点検直後(春〜初夏)が相談開始のベストタイミング。申請・機器手配に3〜6ヶ月が必要。
  • 北海道・十勝では春〜夏の施工が最適。冬季・年度末は避けるのが原則。
  • 「点検で指摘が出てから動く」では遅い。点検前から業者に相談を始めるのが理想。

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