「省エネ工事に興味はあるが、タイミングや費用感がわからない」
設備更新を検討している施設担当者の方から、こうした声をよくいただきます。
結論からお伝えすると、高圧受電設備の更新は、省エネ・電気代削減を同時に進める
絶好のタイミングです。設備を一度止めて工事を行う機会に合わせて省エネ対応を組み込むことで、
改めて別工事を発注するよりコストと手間の両方を抑えることができます。
この記事では、設備更新に合わせて検討できる主な省エネ施策と、
見直しのポイントをわかりやすく整理します。
なぜ「更新のタイミング」が省エネの好機なのか
- 停電・施工の機会をまとめられるため、追加の停電が不要
- 工事の段取り・業者調整がひとつで完結する
- 新しい設備の仕様に合わせた最適な省エネ設計ができる
- 更新費用と省エネ投資をあわせて補助金申請しやすい場合がある
- 長期的な電気代削減効果を早期に享受できる
- 別途停電・工事の機会を設ける必要がある
- 業者調整・申請手続きが再度必要になる
- 既存設備との整合を取り直す手間が発生することがある
- 補助金の申請機会を逃す可能性がある
- 省エネ効果の享受が後ろ倒しになる
設備更新の工事はそれ自体がまとまった投資です。
その機会に省エネ施策を組み合わせることで、
「安全・安定」と「コスト削減」を同時に実現できるのが最大のメリットです。
設備更新に合わせて検討できる主な省エネ施策
変圧器(Tr)の高効率タイプへの更新
変圧器は高圧(6,600V)を低圧(200V・100V)に変換する機器で、
キュービクルの中で最もエネルギー損失(無負荷損・負荷損)が生じやすい部品のひとつです。
老朽化した従来型変圧器から、省エネ法のトップランナー基準に対応した
高効率変圧器に更新することで、変圧器自体の電力損失を大幅に削減できます。
| 更新目安 | 20年(ただし内部劣化は早期に進む場合がある) |
|---|---|
| 省エネ効果 | 高効率タイプへの更新で、変圧器損失を旧来型比で大幅に低減できる場合がある |
| ポイント | 省エネ法トップランナー基準適合品の採用を検討する。 施設の負荷パターン(常時高負荷か軽負荷が多いか)によって最適な容量・仕様が変わる |
高圧進相コンデンサ(SC)による力率改善
「力率」とは、供給された電力のうち実際に仕事に使われる割合を示す指標です。
力率が低い状態では、実際に使っている電力より多くの電力を電力会社から引き込むことになり、
電気料金の基本料金(デマンド料金)が割高になる場合があります。
高圧進相コンデンサ(SC)を設置・更新することで力率を改善し、
無効電力を抑えて電気料金の基本料金の低減につなげることができます。
電力会社の料金体系によっては「力率割引」が適用され、
力率が高いほど基本料金が割引になる仕組みがあります。
| 更新目安 | 20年(劣化すると力率改善効果が低下する) |
|---|---|
| 効果が出やすい施設 | モーター・ポンプ・空調機など誘導性負荷が多い工場・大型施設 |
| 確認方法 | 電力会社の検針票・契約書で現在の力率を確認できる。 力率が90%を下回っている場合は改善の余地がある |
| ポイント | 現在の負荷構成・力率の実測値をもとに、適切な容量のSCを選定することが重要 |
契約電力(デマンド)の見直し
高圧受電の電気料金は、「基本料金(契約電力・デマンド)」と「従量料金(使用電力量)」
の2本立てで構成されています。
基本料金は「過去12ヶ月間の最大需要電力(デマンド値)」をもとに決定されるため、
ピーク時の電力使用を抑えることで基本料金そのものを下げることができます。
設備更新のタイミングでエネルギー管理の見直し・計測機器の導入・
デマンドコントロールの検討を合わせて行うことで、
運用面からの電気代削減につなげることができます。
| 確認ポイント | 現在の契約電力・実績デマンド値・ピーク発生時間帯の把握 |
|---|---|
| 効果が出やすい施設 | 特定の時間帯に電力使用が集中する工場・冷暖房負荷の大きい施設 |
| ポイント | 設備更新後の負荷構成が変わるタイミングで、改めて契約電力の妥当性を確認するとよい |
照明・低圧回路のLED化・省エネ改修
高圧設備の更新と合わせて、館内の照明をLEDに切り替えたり、
古い低圧回路を整理・効率化したりする工事を同時に進めることもできます。
特に製造工場・倉庫・大型施設では、照明の消費電力が全体に占める割合が大きく、
LED化による削減効果が高い場合があります。
| 対象 | 工場・倉庫・事務所・廊下・駐車場などの照明設備 |
|---|---|
| ポイント | 高圧設備の更新と同じ工事機会に進めると、追加の停電工程が不要になる場合がある |
省エネ効果を最大化するための見直しポイント
省エネ対応を設備更新に組み込む際、以下のポイントを事前に整理しておくと、
より効果的な提案を受けやすくなります。
- 直近12ヶ月分の電気料金の検針票(基本料金・従量料金・力率の確認のため)
- 現在の変圧器の仕様・容量・設置年数
- 施設の主な電力消費設備(モーター・空調・照明・生産設備など)の種類と規模
- 電力使用のピーク時間帯・季節変動の有無
- 省エネ・設備更新に関する補助金制度の活用意向
補助金・助成金の活用も検討を
高圧設備の更新や省エネ機器の導入には、
国・北海道・各市町村の補助金・助成金制度が活用できる場合があります。
制度の種類・対象範囲・申請時期は年度によって変わるため、
更新計画を立てる段階で制度の有無を確認しておくことをおすすめします。
「工事が終わってから申請する」では対象外になる場合があるため、
計画の早い段階からご相談いただくことが重要です。
セイトー電設では、補助金活用の可能性についても合わせてご案内しています。
- 高圧設備の更新タイミングは、省エネ施策を同時に進める絶好の機会。停電・工事をまとめることでコストと手間を削減できる。
- 変圧器の高効率化で機器損失を削減。省エネ法トップランナー基準適合品への更新が有効。
- 進相コンデンサ(SC)の更新・追加で力率を改善し、電気料金の基本料金低減につなげられる。
- 契約電力(デマンド)の見直しで基本料金そのものを下げることも可能。ピーク管理が鍵。
- 照明のLED化など低圧回路の省エネ改修も同一工事機会に組み込みやすい。
- 補助金は事前申請が条件のものが多い。計画の早い段階から確認・相談を。